コラム COLUMN
ウッドショックによるトラブルにご用心
昨年、新型コロナの影響で中国の生産活動が停止していた時期、日本では、トイレやシステムキッチンなどの中国産の住宅設備製品が入手できませんでしたよね。
そのため、設備を搬入しない状態で引き渡しをしたい業者や、設備待ちで引き渡し時期が遅れる業者などとトラブルになる施主は少なくありませんでした。
そして今、木材不足のため、あの頃と同じような状態になっています。それはなぜでしょう。どんなトラブルが発生しているのでしょう。
■ウッドショックとは
欧米の住宅市場が活発化したことにより、自国での木材消費量が増えました。そのため、日本では輸入できる木材の全体量が減少して品薄状態が続いています。
原油価格の上昇やコンテナ不足による輸入コスト増加も、輸入量減少の一因となりました。
「ならば国内産木材で対応を、、、」と思っても、こちらも需要が増えて品薄になり、価格が高騰しています。
ちなみに、林野庁によると2019年の木材自給率は37.8%だとか。9年連続で上昇していますが、国内産でカバーするのは非常に厳しい状況です。
輸入木材の供給不足は3月頃から続いており、日本木材輸入協会は、「今年いっぱいは輸入材の供給不足が続く可能性がある」との見解を示しています。
■トラブルの事例
・契約後に材木費高騰分の費用負担を要求された ・契約後に「着工が遅れる」と言われた
・費用負担は免れたが「工期の遅延はどうしようもない」と言われた ・「木材を入手する目途は立っていないが、先に契約を」と急かされた
■対応策
地産地消の家づくりで国産木材の流通ルートが安定しているなど、費用や工期への影響が無い業者もいます。
しかし、それ以外の業者と契約するなら、・契約後に増額した場合、費用負担をどうするか ・入手困難時の対応策(工事内容や工期の変更、材木の変更など)
・着工や引き渡しが遅れた場合の、遅延損害金などの対 応策 など予想される問題について合意書を交わしておきましょう。
一般的に、合意書に定めの無い事項については工事請負契約の内容を基に対応することになるかと思いますが、念のため確認しておきましょう。
■納得できない状態での契約は危険です
木材の価格高騰や品薄が原因で、住宅着工できずに資金繰りが悪化している業者がいるようです。
資金繰りに対する支援制度が始まっていますが、全ての業者が希望通りの支援を受けられるわけではありません。
そのため、業者によっては施主に不誠実な対応をする恐れがあります。契約する時は、契約書や合意書を十分に確認しましょう。
どんなに急かされても、納得できない状態で契約するのはやめましょう。