コラム COLUMN
概算見積書の数字は、あくまでも『概算』です。
低価格を売りにしている業者には、価格を重視する消費者が訪れます。そして、複数の候補を比較して業者を選びます。
それぞれの業者は、その競合に勝ち抜くためにそれぞれの武器(低価格)に磨きをかけます。この時、提示された金額だけで判断してはいけません。
なぜなら、仕入れ方法の見直しなど、創意工夫をしてコストダウンする業者もいれば、見積書の見せ方を操作して、不当に安く見せようとする業者もいるからです。
例えば、概算見積書。『概算』とは、『おおよそ』『おおまか』『ざっくり』という意味です。『精密』『詳細』という意味合いはありません。
しかも、業者によって『概算』に含まれるものは異なるんです。少しでも安く見せたいなら、必要ないかもしれない費用は記載しない方がいいですよね。
それなら、地盤改良の必要があるかどうかわからない『地盤改良費』に関心を持たれては困ります。
外構工事や火災保険など、本体工事に含まれないものを記載しなければ、見積書の金額はグッと抑えられます。
そんなカラクリに気づないまま施工業者を決定し、契約直前に詳細な見積書を見て驚愕する方は少なくありません。
中には、新車が1~2台買えるほど見積額が増えた事例もあります。
そのため、返済可能額で余裕を持って家づくりするはずだったのに、借入可能額ギリギリまで借金し、支払い遅延を重ね、泣く泣く住まいを手放す方もいるんです。
そんなトラブルを防ぐため、もし皆様が価格に疑問を感じた時は、・なぜ、それほど安く提供できるのか
・実際に暮らせるようにするには、どれくらいの追加費用が必要かを尋ねるようにしましょう。
また、もし値引きを提示されたら、・なぜ値引きできるのか ・値引きする分、設備や大工の技量などに変更が生じるのではないかなども尋ねましょう。
そして、その解答に不信感を抱いたなら、そのまま契約して大丈夫なのか慎重に再考しましょう。既製品の場合、価格に消費税を加えるだけなので計算は簡単です。
・意図して明示してもらえない費用がある(というケースもある)などの事情もあり、一般の方が計算するのは困難です。
また、初期費用を抑えるために耐用年数の短い材料を使うと、将来のメンテナンス費用が増加する恐れもあります。
限られた予算を最大限に活かすことは大切ですが、家づくりに対する業者の姿勢や経営状態、皆様との相性など、大切なことはほかにもあります。
概算見積書の数字を優先し、その先の落とし穴で泣くことが無いよう気を付けましょう。