コラム COLUMN
引き渡しが遅れた時、業者が負う責任とは。
新築工事の工程表を見ると、いつどんな工事をするかが一目でわかります。
見学したい工事の予定日チェックは勿論のこと、計画通りに進んでいるか確認できるので便利ですよね。
さて、計画より遅れている時に気を付けたいことがあります。それは、『引き渡し日に変更は無いか』ということです。
数日程度の遅れなら調整は可能でしょう。しかし、自然災害や悪天候等が原因で、資材や人材を確保できないケースもあります。
施主が追加工事を希望し、その分だけ工期が伸びることもあるでしょう。
ところで、工期の遅延のために引き渡しが遅れると、・引っ越し業者や外構業者の再手配 ・仮住まいの確保などの労力や費用が発生します。
子どもの入学時期に合わせて引っ越す予定だったなら、教育委員会に学区外通学の相談もしなければなりません。もう、本当に大変なんです。
では、もし遅れた時、施工業者はどんな責任を負うのでしょう。答えは、契約時に渡される工事請負契約書に記されています。
工事請負契約書には、契約に定められた期日までに引き渡しができなかった場合に、請負人(施工業者)が負う義務や責任について明記されているはずです。
契約書に署名捺印をする前に、必ず確認してください。例えば、民間連合協定工事請負契約の約款には、
『受注者の責めに帰すべき事由により、契約期間内に契約の目的物を引き渡すことができないときは、契約書に別段の定めのない限り、
発注者は、受注者に対し、遅滞日数に応じて、請負代金に対し年10%の割合で計算した違約金を請求することができる』と定めています。
式で表すと、『請負代金×遅延日数/365日×10%』です。遅延を取り戻そうとして突貫工事をすると、手抜きや施工不良のリスクがあります。
急がせた結果、引き渡し後に余計な補修費用が発生したら泣くに泣けません。
そんなトラブルを避けるため、・契約書に、引き渡しの期限だけでなく着工日も明記する
・契約書に、遅延による家賃や引っ越し費用などの差額分は請負人の負担とするよう明記する ・契約書に記載された違約金に納得できない場合、納得するまで署名しない
・予備日も加えて余裕のある工程にするなどの対策も検討してみましょう。